前回に続き手作りスピーカーの作成記 雑誌Stero誌付録のScan Speakのスピーカーユニットを使って自作スピーカーを作ろう!
まずは完成写真を紹介するよ、集成材とはいえ無垢の材料で作ったのでしっかり研磨して良い色艶が出たよ。サラウンドシステムのセンタースピーカーとして作成したので、音はモノラルだが、ボーカルや映画の会話シーンなど良い音を鳴らしてくれます。
前回の記事はこちら
今回はバスレフ式のサラウンド用スピーカーを作ってみたので工程を紹介するね
材料の選定
スピーカー作りによく使用されるのはMDF材という、木質パルプをボンドで圧着した材料、価格も安く厚みや品質も安定しているので中々良いのだが、見た目が段ボールみたいで味気ない。せっかく作るのなら木製っていう質感が欲しい。
木製にこだわるなら、 幅広の木はとても高価なので、集成材が選択候補となる。パインの集成材なら、ホームセンターで売っているのだが、スピーカーの自作には堅木の集成材が良いらしい。
しかし現在近場のホームセンターには在庫が無かった、手持ちの堅木集成材で組めるサイズで簡単に図面を書き製作を始める。
ホームセンターの大型バネルソーを使えば、コンマ単位の精度できれいに切れるのだが、その場で購入した材料ではないので持ち込んでカットしてもらうわけにはいかない。自分での丸鋸カットでは治具を使っても振動等で位置が僅かにずれる。木も堅いし、カットがかなり困難だった。
トリマー治具によるユニット取り付け穴の穴あけ
ユニット用の取り付け穴あけも中々大変、堅い木なので、自在錐では歯が立たない。仕方ないので、以前ままごとテーブルで使ったトリマー用の治具を取り出すが、目的径が79mmと中途半端、治具の加工最小径が90mmなので、トリマーベースにキリ穴を開けてなんとか加工した。
トリマーでの大径穴あけ治具はこっちを参考にしてみてね
バスレフ式スピーカーのダクトの穴あけ
バスレフダクト用の穴はフォスナービットをボール盤に取り付け加工、これは簡単にきれいな穴が空くので楽だ、位置も決めやすいしね。
所有しているフォスナービットはこれ、価格の割に切れ味抜群真円のバリのない穴が空くよ

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空気の出入り口となるダクト部は、スムーズに呼吸できるよう周囲をトリマーで大きく面取りしてみた。Rがついて柔らかな印象で見た目も良い。
バスレフ型 木製ダクトの作製
ユニット用に切り出した部材で、ダクトの延長を作製した、板厚が18mm、2枚重ねると36mmと程よい長さになりそうだ。写真左が加工前、角を面取りして取り付けた。加工径は30mmだ。(その後ユニット2付けでは思ったような音が出なかったので穴は拡大します) ちなみにダクトの長さは低音のブーストに影響するよ
スピーカーターミナル部の加工
スピーカーターミナルは既製品をマルツで購入、金メッキだけれど一組で260円と手頃な値段で手に入りました。ネット上を探したとき、メーカー品で2000円前後したので、約1000円のスピーカーユニットに付けるのはどうかと思ったのですが、格安品があったのでターミナルを付ける事にしました。
しかし問題発生、18mmの板厚では、端子部の長さがたりませぬ。仕方ないのでフォスナービットで板の裏側からザグリを入れました。
フォスナービットターミナル取り付け後、内側から見るとこんな感じ。2つのユニットを鳴らすので半田も併用して取り付けてます。
スピーカー接続端子の加工
平型端子の加工スピーカー側は、後にユニットを交換・取り外しできるよう平型端子を利用しました、カーオーディオ用の余りが自宅にあったのでこれでいいかな?金メッキでは無いがスピーカー用と書いてあるし。エーモン製でMサイズで大きい方の端子がギリギリ入りました。
どっちに繋ぐの?
いざ結線となって迷ったのが、どちらがターミナルの赤につなぐのか.. スピーカー作りをする人たちには常識なのか本誌ムックには記載が無い。昔スピーカーケーブルを逆につなぐとダメと聞いた事あるけど...
ネットで調べるとユニットの端子に赤点が打ってある方をターミナル赤につなぐとの事、間違えても壊れはしないが位相が他のと逆になると音がおかしくなるらしい。
仮組み
そろった部材を合わせてみるとやはり微妙に、幅、平行、直角に微妙な狂いがある、
家具のようにホゾ組すれば逃がせるかもしれないが、ボンド接着のみで組むと、致命的なので、二枚合わせて、鉋で地味に修正する、大変だしきれいに取りきれない...
コンパスカッターによるパッキンの作製
ムックを読むとエンクロージャーとユニットの接点にはパッキンを入れると密閉製が高くなり良いらしい。今回のユニットは樹脂枠なので厚みのあるゴムパッキンは逆効果になりそうだ。
紙パッキンでも良さそうだが、厚みを稼ぐのにフォルダをコンパスカッターで切り出しパッキンを作製してみた、ノギス目で、0.2mm程度と適度な厚みだ。
吸音材の貼り付け
ある程度組んでから、内部とケーブルに吸音材を取り付けた、先人にならい熱帯魚フィルターを流用、価格も安く200円分で余った。
固定は微調整のため剥がしやすいようにタッカーで固定してみた(強力ホッチキスみたいな物)
接着
全体を組み付けて、手元にある限り全てのクランプで固定
視聴
完成を待ちきれず、この状態でユニットを付けて鳴らしてみる。
と..... 今ひとつ...。
吸音材取り付け時の試聴より、がくんと音質が落ちている。なんでだ~!!??
しばらく時間を空けて聞いてみるが、やはり気に入らない、仮組より重低音が出ているが、歯切れが悪く、ボカールも高音も籠ってしまった。
改善
ユニットを片方止めた後、外した穴を板で軽く塞ぐと、元の良い音に戻った。
どうも原因は、ボンドで密閉製が上がった事にあるらしい。ユニット二つに対してダクト30mmでは、小さすぎるらしい。急いで全面パネルのボンドをひっぺがす。
なんとかセーフ、前面パネルを剥がすことができた。今日はもう遅いので、明日穴の拡大を図る事にしよう。
翌日ダクト穴の拡大を図る、30mmから、35mmのフォスナービットに切り替え、上下にも拡大、2倍程度のダクト穴になったかな、穴あけも、既に空いている所に掛かって開けるので材料の暴れを押さえるのに苦労しましたがなんとか成功。
音質もガッツり変わった、ドロドロっとした重低音は出なくなってしまったけれど、歯切れよい低音、奇麗に伸びる中高音とバランス良くきれいな音に、一週間くらいで箱も締まりユニットもエージングされより良くなるらしいので楽しみだ。
塗装の準備
まずはパテ埋め、仮に鳴らす時に使ったネジ穴や、接合部の微妙な隙間なんかにウッドパテを刷り込みました、このウッドパテは塗装も乗るしボンドで埋めるより乾燥しても痩せないので使いやすいです。
水研ぎを含め5段階の研磨、接着時の目違いもあるので研磨は粗めから開始、180番の耐水ペーパーで目違いや角の丸めの合わせを取り、240番で2度目の研磨、塗装の毛羽立ちを押さえるのに、一度全面を濡らし、400番、600番、1000番と3回水研ぎしました。
手で触ってもめっちゃつるつる、すべすべで良い感じです、集成材とはいえ無垢材だから出来る研磨だね、シナ合板だとそれだけ磨くと次の層が見えてきちゃう。
手作りスピーカーの塗装
塗装はオスモカラーの着色仕上げとしました。オイル系塗装です。刷毛でぺたぺた塗って...
1.2分置いて、毛羽立ちしないキムワイプで拭き取るとこの通りムラ無く艶艶です。一気に高級感が出て楽しい瞬間だね。
一度乾かして、2000番を軽く掛けて仕上げ塗りをしようと思ってたけれど、十分艶が出たので一度塗りでおしまいにしました。
丸一日経つとオイルが樹脂化して表面も堅くなって音質的にも良さそうです。
水研ぎの効果
一度塗りでも中々良い艶 左半分が塗装中、塗料やニスと違って塗りムラに成らないのがいいでしょ、スピーカーは家具より調度品的な美しさが欲しいもんね。
乾いたら少し色も落ち着いて、程よい艶加減になりました。
組み立て中の内部塗装と同じ塗料なのに雲泥の差、研磨の威力だね。
完成!
次回は同じユニットを使って、iMac用のデスクトップスピーカー作製をするよ。
再編集2016.2.8